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連載にあたって~本連載の目的と内容の紹介

連載にあたって~本連載の目的と内容の紹介

2022.06.23北得 美佐子(東京医療保健大学和歌山看護学部 教授)

 2022年4月に行った看護系ICT教育チームへの取材をきっかけに、チームのみなさまにICTを活用した講義や演習、代替実習について、連載のご執筆をお願いいたしました。授業計画や実践内容をまとめたスライド、授業に用いた資料を「教材シェア」にご登録いただいておりますので、多くの方にご活用いただけますと幸いです。(NurSHARE編集部)

 

はじめに

 本連載は、筆者が代表を務める看護系ICT教育チーム(以下、「ICTチーム」)のメンバーたちが日々実践する、ICTを活用した講義・演習・代替実習の方法について、主に教育用電子カルテ『Medi-EYE』を用いながら紹介します。また、ICTを用いたオンライン試験や評価の方法についても紹介していきます。

看護系ICT教育チームとは

 看護系ICT教育チームは2021年の2月に発足した、ICTを用いた看護教育について学び合うコミュニティです。大学の教員を中心として、専門学校の先生や臨床指導者、看護教育に関わる企業の方など、さまざまな職種・立場の方が参加されています。これまでの活動内容についてはこちらの記事を参照してください。

本連載の目的

 これまで本ICTチームの活動を通して、様々なICTの活用事例を紹介し合い、各々の学校でのICTを用いた演習や代替実習の内容をブラッシュアップしてきました。その中には、貴重な知見や実践例が多くあり、これを少しでも多くの看護教員のみなさまと共有し、看護教育がよりよくなる一助になればと思い、本連載を配信することにしました。

なぜ教育用電子カルテを用いるのか

 本連載では、教育用電子カルテ『Medi-EYE』を用いた事例を多く紹介します。では、なぜ電子カルテなのか、『Medi-EYE』なのか、というところをご説明します。

 まず、なぜ『Medi-EYE』なのか、ですが、それは、このICTチームが発足した時点で、実際に近い電子カルテがオンラインで閲覧できる教育用のシステムは『Medi-EYE』しかなかったからです。教育用電子カルテを用いたICT教育を行うには、自ずと『Medi-EYE』を用いることになりました。

 次に、なぜ教育用電子カルテを用いるかです。従来の講義や演習の授業における事例演習では、1枚の用紙に必要な情報だけが記載されている紙上事例を使用して演習を行うことが多かったのではないかと思います。しかしこの方法では、学生自らが“その疾患、状態の患者を看護するうえで必要な情報は何か”という思考の部分のトレーニングが十分できません。そして、実習に行って初めて電子カルテを操作し、膨大な情報を前に右往左往するといった状況が起こります。つまり、電子カルテが主流となっている現在の医療施設の状況に対して、学生の実習に対するレディネスが十分ではないという課題が生じていました。教育用電子カルテを用いて講義・演習を行うことで、そのレディネスを高めることできるのです。

 実際、本学(東京医療保健大学和歌山看護学部)では、低学年から講義に教育用電子カルテを導入し、閲覧することに慣れてもらうようにしています。学生からは、「実習に行った時にまずカルテのどこから情報を取ったらいいかを考えることができた」「情報収集にかける時間が短くなり、ベッドサイドに行ける時間が増えた」などのポジティブな感想が複数寄せられています。

 

『Medi-EYE』の使用画面
[提供:株式会社Medi-LX]
 

SA(student assistant)制度の活用

 ICTと直接関係はありませんが、本連載で紹介する本学におけるICTを用いた2年次や3年次の演習・代替実習には、4年生のSA(student assistant)が登場します。これは、筆者が所属する成人看護学領域独自の取り組みであり、公募制とし、応募者とは事前に演習指導に必要な資料を渡して打ち合わせを行います。SAは下級生の実技を観察し、フィードバック役なども担います。

 SAを経験した4年生からは、「演習へ参加するにあたり、周術期看護について再学習できた」「臨床指導者も参加していたので、3年生以上に緊張した」「昨年度の実習での学びが整理できた」などの感想がありました。下級生への学習支援によってSAを担った4年生にとっても実習経験の補充学修や国家試験対策の機会となるなどのメリットがあります。このように、ICTだけではなく、様々な学習方法も取り入れることで、よりよい教育を行うことを目指しています。

『Medi-EYE』の使用方法

 『Medi-EYE』の使用方法の動画は製品のサイト(https://medi-lx.co.jp/site/login)の右側にあるinformationにも掲載されています。
 また、本連載にあたり、ICTチームのメンバーである本学の山田修平先生にお願いし、どの学校の学生でも閲覧できる『Medi-EYE』の使用方法の解説動画を作製していただきました。事例患者の情報収集のポイントがわかりやすく解説されていますので、ぜひご活用ください。(「教材シェア」の動画からも視聴できます)

 

©山田修平 

 

 またこの動画以外にも、低学年向けに『Medi-EYE』事例患者の情報を整理するための『電子カルテ演習ワークシート』も作成しています。「教材シェア」に登録しておりダウンロードもできますので、ぜひご利用ください。

 

『Medi-EYE』電子カルテ演習ワークシート
©山田修平 
 

今後の連載内容と関連教材について

 本連載では、以下の内容の配信を予定しています。また、記事と併せて、関連する資料や教材を随時「教材シェア」にも登録していきますので、多くの方にご活用いただけますと幸いです。

連載リスト(予定)

『Medi-EYE』を使用したシミュレーション演習:急性期看護援助論において
『Medi-EYE』を使用した代替実習:急性期看護学実習において
『Medi-EYE』とリアルシミュレーションを融合した代替実習
LMSを利用した代替実習の作り方
見学実習とシミュレーション演習を組み合わせたハイブリッド型実習
◇『Medi-EYE』を活用した代替実習:臨床看護師を巻き込んだ代替実習
◇『Medi-EYE』を活用した代替実習:オンラインで行うロールプレイとピア評価
◇『Medi-EYE』を使用した代替実習:地域住民の健康指導
◇『Medi-EYE』を活用した代替実習:他大学との合同カンファレンス
◇『Medi-EYE』を活用した代替実習:他大学とのチーム医療カンファレンス
◇ オンライン試験の作り方:Google フォーム、Microsoft Formsを用いて
◇ オンライン授業における診断的評価
◇ オンライン授業における形成的評価
◇ オンライン授業における総括的評価
※連載記事が配信されるとリストにリンクが入ります
 なお、連載リストは随時変更することがあります(リストは2022.10.19現在)


 連載の他にも、連載内容に関連したイベントをNurSHARE発で開催していきたいと思っていますので、みなさまのご参加をお待ちしております。

☆ご案内☆
看護系ICT教育コミュニティへの参加を希望される方はこちらからアクセスしてください。コミュニティにアクセスされた方は、まず「#自己紹介」より自己紹介をお願いいたします。その後、事例開発や各専門領域のコミュニティへご案内させていただきます。

北得 美佐子

東京医療保健大学和歌山看護学部 教授

きたえ・みさこ/大阪府出身。大阪市立大学大学院看護学研究科前期博士課程修了〈看護学修士〉。臨床勤務15年を経て、2007年より堺市医師会堺看護専門学校の専任教員に着任。2012年関西医療大学講師、2016年同准教授、2019年東京医療保健大学和歌山看護学部看護学科准教授を経て2022年より現職。和歌山県立医科大学大学院医学研究科 地域医療総合医学緩和医療専門医養成コース博士課程在学中。研究テーマは『がん患者の遺族に対する緩和ケアの質の評価』。近年は、『インストラクショナルデザインを用いた授業の評価』についても探求している。

企画連載

ICTを活用した講義・演習・代替実習-教育用電子カルテ『Medi-EYE』を用いて

看護系ICT教育チームのメンバーの方々に、ICTを活用した講義や演習、代替実習の具体的な実施方法について解説していただきます。また、連載の中で「教材シェア」に登録されたさまざまなスライドや資料もご紹介していきます。

フリーイラスト

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