前回は、教材教具などの物品の整理整頓への取り組みを書かせていただきました。今回は、文書やデータの整理整頓について書きたいと思います。
データ・文書の整理整頓によって管理的視点が養える
私が過去に勤務した学校は、いずれも学校として成り立ってからの歴史が長く、文書管理規程ももちろん整備されていました。しかし、世の中は変化しており、管理する文書の内容はこれまで以上に多岐にわたります。前例のない新たな文書が発生した場合、ルールが明確でなければどこに保管していいかわからなくなります。「とりあえずここに保管しよう」と一度ファイルした文書やデータを保管しなおすことはめったになく、また他者が保管しなおすことはないに等しいと思います。そして、そのように保管された文書やデータを閲覧したくても、探すのに一苦労し時間ばかりが経過することが多々あります。
管理規程に書かれていることは最低限の基準ですから、こういったとき、実際はどのように運用するのか考える必要があります。文書やデータの適切な管理は、業務の効率化やセキュリティ強化、コンプライアンスの徹底において重要なことです。現在はDX化が進み、適切な管理ができている学校が多いと思います。しかし、紙媒体の依頼文書や情報提供などは今でも相当量あると思います。文書管理の見直しに取り組んでいたり、管理的視点を身につけさせたいと考える教職員がおられたら、文書管理の重要性や目的、管理の考え方を教示されることをお勧めします。
データ・文書を管理するコツ
私のこれまでの経験から、データや文書の管理体制を改善させるコツをご紹介します。データ管理に際して、教職員がデータを共有できるサーバーに保管されると思いますが、フォルダの中ではなくファイルのまま保存されていることはありませんか。また、複数ファイル名に「決定」や「最終決定」「修正」などの文言があり、どれが最終決定版なのかわからないということはありませんか。ファイルの命名を個人の感性に任せていると、他者が理解できないファイル名であることがあります。ファイルを一つひとつ開かなければならない状況になり、時間の浪費につながります。
基本的には、フォルダを作成してその中にファイルを保存することがほとんどです。そうでない場合は、まずはぜひそのように取り組むことをお勧めします。その際、ルールを作成し、ファイル名の命名規則や保管場所、共有のルールを組織で統一する必要があります。たとえば、①日付は半角数字8桁、区切りは半角アンダーバー、②「最新」「最終版」は使わず日付で版を管理、③トラブルの原因になるためスペースは使わない、という ルールを会議で決定します。例としては「20260415_議事録_図書委員会.docx」というファイル名です。当該年度のファイルはすべて決定したルールを徹底します。過去のファイルは、業務担当者に可能な限り修正してもらいます。フォルダに関しては、大分類を「委員会」や「会議」として、サブフォルダに年度を作成し、更にそのフォルダ内に「資料」や「議事録」として作成して保存するようにしています。
文書に関しては、発出した文書と受信した文書のそれぞれに一覧表を作り、それぞれの文書にナンバリングを付してファイリングしていく方法が一般的です。しかし、内容によってはいくつもの細かなファイルが作成されるため、それを逐一ナンバリングして閉じていると、文書を収める棚からファイルがあふれていることがあります。また、保管年限が過ぎている文書が長年保管されており、同様に棚からあふれていることがあります。ときには、段ボールに入れ、床に置いてあることもあり、もはや何が入っているかわからないこともあります。
私がそのような経験をした際は、数日または数週間かけ、文書ファイルを整理したり廃棄しました。どこから手を付けるかということですが、まずは1年間、管理規程を確認しながら文書の動きを観察します。そして、規程や業務分掌、会議などに沿ってファイルを分類しなおします。その時廃棄できる文書がわかりますので、廃棄文書をまとめていきます。自分でも根気があるなぁ、と思います。作業しているときは、それらの文書を管理していた組織の過去の管理職の顔を思い出し、反面教師にしよう、と自分を励ましていました。
自分たちの現状にあった改善ルールを
文書やデータの整理整頓について書いてきましたが、ルールや考え方についてはインターネットなどで調べればとてもよい案がいくつも登場します。調べる前の段階として、組織の文書やデータの管理を、「業務の効率化」「セキュリティ」「コンプライアンス」の視点で点検してみてください。そして、自分たちの現状に合ったよい方法を調べて探してみてください。事務職の方や一緒に考えてくれそうな教員と検討すると、考え方や管理についての学びにつながりますので、ぜひ数人で検討してみてください。
検討する際の注意として、前回の教材教具の整理整頓と違うのは、やりながら方法を探すことはできないということです。文書とデータの管理については、ルールを固めてから動き出さなければ、やり直しが難しい分野です。ルールがあいまいな状態でファイルの再命名や文書のファイリングなどに取り組むと、想定していた内容から逸脱するようなケースに対応ができず、例外が増えてしまいせっかくの見直しが意味をなさない、というようなことになりかねません。しっかりと検討を重ね、組織の人々の合意を得てから動き出してください。
これらの過程にかかわった人々には、組織改革に必要なスキルが生まれると考えています。前回ご紹介したように、整理整頓は職場内のコミュニケーションを活性化させるとともに、メンバーの問題解決思考を向上させたり、決断する勇気を養うことにつながります。管理者として育てたいと思う方と一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。





