はじめに
「測定とはすべての科学の基本である」という言葉を聞いたことがありますでしょうか? どのような素晴らしい目的、デザインの研究であっても、その根底である「測定」に問題があれば、研究の妥当性も信頼性も揺らぐことになるでしょう。統計学の教科書は通常、確率論や確率分布から始まることが多いのですが、学生のときに「評価尺度の信頼性の分析方法」から始まっていた本があり、その哲学に感激した記憶があります。
第6回で研究デザインについての講義が終わり、次回からは統計学に移るのですが、統計学を学ぶ前に、研究の評価方法について1回話したいと思い、この回を入れてあります。なお、この回はまだ研究デザインの続きですので、評価尺度の信頼性・妥当性などの統計的事項は扱わず、研究を評価する方法に内容を絞っています。また、学生が行う卒業研究にはアンケート調査やその分析が比較的多いですし、看護師になってからもアンケートに携わる機会は少なからずあると思いますので、アンケートの作り方についても話しています。
主要・副次的エンドポイントについて知ってもらう
まず、最初に主要・副次的エンドポイントの概念について話します。導入としては「軽症のCOVID-19の治療薬の臨床試験を考えるときに、あなたなら、どのような項目で評価をするか」から入ります。軽症のCOVID-19の臨床試験では主要エンドポイントを発熱や咳などの呼吸器症状の回復期間、副次的エンドポイントをウイルス量などにしていた試験が多い印象ですが、ウイルス量は大幅に減らすが臨床症状はあまり改善しないという研究も多かったと思います。