第2回では、ヒトは未成熟なままでこの世にうまれるため、身体をあまり動かせない時期に脳が著しく発達するという特徴があることを紹介しました。
第3回では、身体を動かせない時期を経験することで却って発達するのかもしれない、気分や感情の多彩さについて紹介します。
恐怖から生まれる「不快」
生理的早産を経験するヒトは、生まれた時から死の恐怖に基づく不快という感覚を獲得することになります。なにせ、ヒトの赤ちゃんは誕生直後は、歩けない、動けない、食べられない、目もあまり見えていない状況です。もし、大人が同じ状況(歩けない、動けない、目も見えない、食べられないなど)だったら、たぶん思いっきり助けを呼ぶと思います。「生きていけない、ムリムリ―!!!」と。
……このような死の恐怖や自分では何もできないという無力感が「不快」という情動を発生させているわけです。
しかし一方で、この不快という情動が、人間という生き物の豊かさにつながります。たとえば、