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第5回:運命を乗り越えろ、理性で自由をつかめ

第5回:運命を乗り越えろ、理性で自由をつかめ

2023.05.25川瀬 貴之(千葉大学大学院社会科学研究院 教授)

この連載は2026年7月24日にPHP研究所より『やさしくておそろしい 法哲学講義 生命の価値はみな等しいのか』として刊行されました。ぜひご覧ください。

味気のないマニュアル的なことはあまりしたくないのだが、図式的に言えば、看護における倫理は、「自律」の尊重、「福利」の尊重、「正義」の尊重という、3つの価値に分けて考えることができる。福利の尊重は、健康などの良い価値を増進するという「善行」と、悪しき害を加えないという「無危害」という2つの原則に区分され、全部で4つの価値と説明されることも多い。確かに、作為(~すること)の義務と不作為(~しないこと)の義務は、法律学や倫理学でも重要な区別とされることは多いが、私の議論ではともかくそれらを福利の尊重としてまとめて論じたい。また、これらの価値を示す名称も、論者によってまちまちであり、教育上の余計な混乱が生じているようにも見受けられる。しかし、第2回の繰り返しになるが、どういう名前を用いているかは重要ではない。ともかく、中身を見ることが大切である。

今回からしばらく、これら3つの価値を、順に取り上げていきたいが、まずは「自律」の価値について考えよう。

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川瀬 貴之

千葉大学大学院社会科学研究院 教授

かわせ・たかゆき/1982年生まれ。専門は、法哲学。京都大学法学部卒業、同大学院法学研究科法政理論専攻博士後期課程修了。博士(法学)。千葉大学医学部附属病院講師などを経て、2022年10月より現職。好きなことは、旅行、娘と遊ぶこと、講義。耽美的な文学・マンガ・音楽・絵画が大好きです。好きな言葉は、自己鍛錬、挑戦。縁の下の力持ちになることが理想。

企画連載

人間の深淵を覗く~看護をめぐる法哲学~

正しさとは何か。生きるとはどういうことなのか。法哲学者である著者が、「生と死」や「生命倫理」といった看護にとって身近なテーマについて法哲学の視点から思索をめぐらし、人間の本質に迫ります。

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