この連載は2026年7月24日にPHP研究所より『やさしくておそろしい 法哲学講義 生命の価値はみな等しいのか』として刊行されました。ぜひご覧ください。

味気のないマニュアル的なことはあまりしたくないのだが、図式的に言えば、看護における倫理は、「自律」の尊重、「福利」の尊重、「正義」の尊重という、3つの価値に分けて考えることができる。福利の尊重は、健康などの良い価値を増進するという「善行」と、悪しき害を加えないという「無危害」という2つの原則に区分され、全部で4つの価値と説明されることも多い。確かに、作為(~すること)の義務と不作為(~しないこと)の義務は、法律学や倫理学でも重要な区別とされることは多いが、私の議論ではともかくそれらを福利の尊重としてまとめて論じたい。また、これらの価値を示す名称も、論者によってまちまちであり、教育上の余計な混乱が生じているようにも見受けられる。しかし、第2回の繰り返しになるが、どういう名前を用いているかは重要ではない。ともかく、中身を見ることが大切である。
今回からしばらく、これら3つの価値を、順に取り上げていきたいが、まずは「自律」の価値について考えよう。





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