本連載 書籍版のご案内
この連載を再構成した電子書籍『カピバラ教授のアディショナルタイム ~正解は知らない。でも、ピッチに立つ。』が、2026年9月28日に刊行となりました。医書.jpで好評発売中です。ぜひご覧ください!
本年もどうぞよろしくお願いします。今年の干支はうさぎ、ということで、編集の S さんから、うさぎの話を書いてください、というリクエストをいただきました。うさぎのおとぎ話や神話、絵本っていっぱいあるんですね。いろいろ考えたのですが今回は、西洋のうさぎの話から考えたうさぎ包摂社会の模索、アジアのうさぎの話から考えたうさぎプロフェッショナリズムの話です。行けるところまで行ってみようと思います。
うさぎ包摂社会の模索
ピーターラビットの誕生は、アカデミアの非包摂性が背景?
19世紀後半、女性が高等教育を受けることは一般的ではありませんでした。のちに『ピーターラビットのおはなし』を書くことになるビアトリクス・ポターは自宅で家庭教師による教育を受けました。ポターはスケッチを描くことが好きで、とくにキノコの観察研究で成果を出すようになりました。しかし学会で自分の研究を発表することはできませんでした。その当時、女性が学会に参加することは認められず、論文は植物園副園長が代理で読み上げたのだそうです(この時に性差別があったことを当該学会が認めて謝罪したのは50年後の1997年と言われています)。ポターはこの状況にたいへん傷つき研究をやめてしまいます。そのあとに親戚の子どもに送るために描いた物語が『ピーターラビットのおはなし』です。もしも学会の中に女性差別がなく、研究者として成功するキャリアを歩んでいたら、ピーターラビットという物語は誕生しなかったかもしれませんね。このような背景があるからでしょうか。ピーターラビットはかわいらしいというよりも、しっかり主張するちょっと皮肉屋に書かれているように思います。
ポターはウォルト・ディズニーからアニメ化のオファーがあったとき、きっぱり断って、その後自社ブランドを立ち上げ、その収益を湖水地方の自然保護のため、ナショナル・トラストに寄付したそうです。


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