この連載は2026年7月24日にPHP研究所より『やさしくておそろしい 法哲学講義 生命の価値はみな等しいのか』として刊行されました。ぜひご覧ください。

突然だが、命の分配的正義において、年齢を考慮事項に入れるべきかが問題になることがある。その他の条件が全く同じ2人のうち、1人の命しか助けられない場合、私の倫理的直観では、その2人の年齢は考慮すべきであり、その考慮の仕方とは、若い者を単純に優先する(出生時を頂点にして、歳を取るほど単調に劣後していく)というものである1。しかし、他の直観を持つ読者も多いのではないか。たとえば、年齢は完全に無視して、助かるチャンスを平等に分配すべく、抽選で助ける者を選ぶべきだという主張、あるいは単純な(単調な)若い者優先への反感も強いだろう。



_1695266438714.png)

