この連載は2026年7月24日にPHP研究所より『やさしくておそろしい 法哲学講義 生命の価値はみな等しいのか』として刊行されました。ぜひご覧ください。

今回からしばらく主題となる「福利」は、これまで取り上げてきた「自律」を上回るほどの多義的な概念であるので、定義をはっきりさせておかないと、議論が曖昧になったり、ミスリーディングになったりする恐れがある。定義は、言葉を使う者の自由であり、そのうちのどれが正解の定義で、どれが誤った定義である、ということは言えないのだが、敢えて慣例的な用語法の最大公約数で言えば、福利とは人間が享受する満足感や幸福のことと考えて差し支えないだろう。





