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「NurSHARE」オープン記念座談会:テーマ「知を共有する」(番外編) 座談会を終えて

「NurSHARE」オープン記念座談会:テーマ「知を共有する」(番外編) 座談会を終えて

2021.12.22NurSHARE編集部

「NurSHARE」ではサイトオープンを記念し、「知を共有する」をテーマに座談会を行い、3週にわたりお届けしました。今回は番外編として、座談会後に先生方から伺った感想を紹介します。

(座談会の様子はこちら
 

片野裕美先生(東京警察病院看護専門学校 副校長)

 座談会の最後に林先生がおっしゃっていた、大学の先生方は案外孤立してしまっているのかもしれない、という言葉が印象に残っています。長く専門学校での教育に携わってきた立場からは、想像が及ばなかったことでした。やはり、私どもは日ごろから教職員同士が顔を合わせてなんでも議論しやすい環境にあるんだなと改めて実感しましたし、これをメリットとして、いっそう大切にしていこうと思います。
 もっとみなさんとお話を深めてみたいと思った点は、学生観や、それを踏まえた指導観のところです。たとえば、専門学校では思考育成だけでなく職業訓練のような側面も期待されますから、「社会人基礎力」を育むことは一つ大きなテーマだと認識しています。それに付随して、社会人としてのマナーや立ち居振る舞いを教えることも重視しています。大学に入学してこられる学生さんの学生観や、それを踏まえた指導観もあるかと思いますので、もっとお聞きしてみたかったなと振り返っています。
 ICTに関してですが、教育のツールとしてのICTは環境に左右される面が大きいので、とくに専門学校では、当校と同じように資金や環境面から制限のある学校も多いかもしれません。当校では最近は新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着くとともに対面での演習・実習が増えてきていて、現場で頭と体を連動させること、失敗も経験することの大切さを改めて感じていたところでした。でも今回、野崎先生がオンライン上で実践された基礎看護学実習のことをうかがって、私たち教員が何を目指して何を学ばせたいのかという点を明確にしていれば、オンライン上での演習・実習でも、達成できることがもっとあるという発見がありました。すてきな気づきをいただくことができました。ありがとうございました。

片野 裕美(かたの・ひろみ)

東京警察病院看護専門学校、日本女子大学人間社会学部教育学科を卒業。東京警察病院勤務後、同病院看護専門学校へ教員として異動。一度退職し、大学と専門学校で非常勤講師を務めた後、現学校に復帰。幹部看護教員養成課程(旧厚生労働省看護研修研究センター)を修了し、2010年より現職。東京都看護系学校連絡協議会の会長等兼務。趣味は下町散歩と近距離サイクリング。

 

佐々木陽子先生(JR東京総合病院高等看護学園 教頭)

 他の学校の先生方と話す機会や、大学の看護教員と交流する機会はこれまであまりありませんでしたので、本日の座談会に参加できとても勉強になりました。大学の教育機関としての考え方や取り組みを知り、専門学校にも大いに参考になることがありました。たとえば、専門学校では即戦力を育てることに力点を置いていますが、大学では学問的な学びも意識して授業計画をされており、その点は専門学校でももう少し意識的に教授していきたいと感じました。
 過去に、専門学校教員と大学教員が参加する2,3か月に1度開催の勉強会に参加していたことがあります。そこでは授業案を持ち寄って議論を行ったりしていましたが、専門学校教員は学生個々への教育の視点、大学教員は学生の集団への教育の視点をもつ傾向が違いとしてあると感じていました。専門学校では看護師としてのスキルは当然ですが、看護師としての資質や姿勢を養い、人格形成を行うこともとても重視しています。そのような専門学校の大事にしているところは引き続き大切にしていきたいと思います。
 本日の座談会を通じて、専門学校教員も、大学教員も、迷いながら試行錯誤して教育を行い、教育者として成長していくのは同じだということを改めて感じました。振り返れば、これまでも自校の教員が学会や研究会に参加し、学内で報告してはいましたが、そこでの学びを「活用」するにいたってはいなかったところが多分にあったと感じます。今後は学びの機会を教育実践の改善につなげるよういっそう意識していきたいと思いますし、そのための手段として「NurSHARE」も活用していきたいと思います。

佐々木 陽子(ささき・ようこ)

JR東京総合病院高等看護学園を卒業後、JR東京総合病院に入職。神経血液内科病棟、小児科病棟勤務。東京都立保健科学大学看護教員養成講座を受講後、1999年に卒業校であるJR東京総合病院高等看護学園の教員として異動。2017年より現職。東京都看護系学校連絡協議会副会長、東京都看護教員養成研修の演習講師も務める。趣味は映画やドラマの鑑賞、料理。

 

野崎真奈美先生(順天堂大学 教授)

 私は、看護教員の教育実践力=「教材化力」だと思っています。しかしこれは決して一朝一夕で身につくものではないのですよね。今回、座談会に参加させていただき、教材化力の習得・熟練に、大学の教員も専門学校の教員も同じように苦悩していると改めて認識できたとともに、心強い気づきを得られました。この苦悩の根底には、教員達の“自分の授業をよくしたい”と願う気持ちが共通してあるのだと思います。
 教育方法は、ある学校でうまく取り入れることができたからといって、それをそっくりそのまま別の学校で導入しても当然ながらうまくいくとは限りません。カリキュラムも異なれば、そこで学ぶ学生さんたちも違いますから。そういうときに、その教育方法について教育理論に立ち戻ると思うのですが、その理論を踏まえて自校の教育実践にどう落とし込むかという段階で足踏みしてしまうケースが多いように思います。「NurSHARE」において、さまざまな教材化の方法やその具体例が発信されることで、課題解決のヒントが得られれば、これだったら自分たちにもできるって、希望がもてると思います。
 座談会でもお話ししたように、昨年度(2020年度)からのCOVID-19の影響を踏まえた演習・実習づくりの経験で、対面でしか達成し得ないと思っていたことの多くが、オンライン上でも対応可能である、むしろオンラインだからこそ学生の気づきを促すきっかけを作れることがわかってきました。要は工夫次第だなと。こういったポジティブな体験を、多くの先生方がシェアしあえる場となればいいなと願っています。

野崎 真奈美(のざき・まなみ)

自衛隊中央病院高等看護学院(現・防衛医科大学校)卒業後、同病院に勤務。聖路加看護大学(現・聖路加国際大学)、埼玉県立大学短期大学部、東邦大学を経て、2017年より現職。青山学院大学卒業、教員免許取得。聖路加看護大学大学院看護学研究科修士課程修了、修士(看護学)。早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了、博士(人間科学)。趣味は飛行機旅。

 

林 直子先生(聖路加国際大学 教授)

 今日の座談会はとても貴重な機会でした。同じ看護教育を担う立場でありながら知らないことが様々ありました。専門学校として苦労されていることもお聞きできて良かったと思います。
 本日の話し合いを通して、専門学校の教員も、大学の教員も、同じ看護教育者として根底にあるパッションは変わらないと感じました。そのうえで、自身は大学教育として、抽象度が高い概念を教授することで、概念を理解する思考力や、新しいことを学ぶ教養を養いたいと考えていますし、大学の役割と考えています。
 佐々木先生の学校では学生が少人数なことから担任制をとっているとのことでしたが、すべての学生の顔が見える関係というのはとても良いことだと思いました。大学では一学年の学生が多く、同じ形態をとるのは難しいです。代わりに、学生個人に担当教員を付けるということは多くの大学で取り入れられています。本学では各学生に対してメインアドバイザーとサブアドバイザーを付けており、相談にのるなど個別に学生をサポートしています。
 看護教育の実践を考える時、大学、専門学校の種別だけでなく、各教育機関としてもっているシステムも資源も違いますし、組織の意思決定のあり方も違います。ある学校でうまくいく方法が、別のある学校ではうまくいくとも限らず、教員各自が与えられた環境の中でどう工夫していくかが重要なのだと思います。その意味で、「NurSHARE」が新たな工夫の材料を得る場として活用されていくことが期待されると思います。

林 直子(はやし・なおこ)

東京大学医学部保健学科卒業後、東大病院外科病棟に勤務。東京大学大学院医学系研究科修了(保健学博士)。UC San Diego客員研究員、聖路加看護大学講師、東邦大学教授を経て、2010年より現職。前厚労省保健師助産師看護師国家試験委員長。放送大学客員教授、日本看護系大学協議会がん看護分科会委員長、日本看護協会分科会委員長他兼務。趣味は子どもの競技観戦。


(座談会の様子はこちら) 

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