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第111回看護師国家試験を振り返る ~これからの国試対策をどう組み立てるか

第111回看護師国家試験を振り返る ~これからの国試対策をどう組み立てるか

2022.06.02フラピエ かおり(株式会社Nurse Style Biz 代表)

 コロナ禍で迎えた2度目の国家試験。受験生自身も周囲の方々も、本番まで例年以上の緊張の日々を過ごされたことと思います。新しい年度が始まり早2ヵ月が経過し、今年度の最終学年の学生たちの様子が少しずつつまびらかになってくる頃かもしれません。
 ここでは、過去問題との対比をとおして第111回の看護師国家試験を振り返りながら、次回試験に向けた対策について考えてみたいと思います。

 

第111回試験の合格率等

 表1、表2に、第111回試験の合格基準と合格者の状況を示しました。表3には第100回試験以降の合格率等をまとめています。第111回では、第100回(2011年)、第107回(2018年)に並び、全体の合格率が91%台となりました。受験者数は第104回(2015年)に6万人を超えて以降、年々増加傾向にありますが、合格率の水準は90%前後の範囲内で推移し続けています。
 第111回でも例年どおり、やはり既卒生の合格率が低く、とにかく一度で合格するというのが最重要課題の一つであることに変わりはありません。

表1 第111回試験の合格基準
 ●必修問題:40点以上/50点
  ※一部の問題で採点除外の対応がなされた場合は40点以上/49点、もしくは39点以上/48点
 ●一般・状況設定問題:167点以上/250点(66.8%)
表2 第111回試験の合格状況
  出願者数 受験者数 合格者数 合格率
全体 65,684人  65,025人 59,344人 91.3%
新卒者 59,440人  59,148人 57,057人 96.5%
既卒者 6,244人 5,877人  2,287人 38.9%
表3 過去11年間の合格率等の推移

回数

(実施年)

100回

('11)

101回

('12)

102回

('13)

103回

('14)

104回

('15)

105回

('16)

106回

('17)

107回

('18)

108回

('19)

109回

('20)

110回

('21)

合格率〔%〕 91.8 90.1  88.8  89.8  90.0 89.4 88.5   91.0  89.3  89.2  90.4
合格基準(点〔%〕) 163/250
(65.2)
157/247
(63.6)
160/250
(64.0)
167/250
(66.8)
159/248
(64.1)
151/247
(61.1)
142/248
(57.3)
154/247
(62.3)  
155/250
(62.0)
155/250
(62.0)
159/250
(63.6)
合格者〔人〕 49,688 48,400  50,232 52,900 54,871 55,585 55,367 58,682 56,767 58,514 59,769

第111回試験の出題内容

いま一度、試験問題の「プール制」を認識しておきたい

 ご存じのように、必修問題が導入された第93回(2004年実施)より試験問題のプール制が行われており、これまで多くの過去問題が繰り返し出題されてきています。第111回でもたくさんの過去問題が再登場しました。たとえば必修問題だけでみれば、およそ9割の問題が第93~110回の間に少なくとも一度は出題されたことがあるものでした(筆者調べ)。
 しかしながら当然、過去問題は必ずしもまったく同じ姿かたちで再登場するというわけではなく、時代に応じてアップデートされたり、問い方を変えたりして問われています。このため、先生方からすればこれは過去にも問われている、と解釈できる問題であっても、学生の目には「初めて見る問題」と映ることもあるようです(資料1参照)。
 

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フラピエ かおり

株式会社Nurse Style Biz 代表

看護師として13年間、臨床で経験を積む。その後、看護教育の道へ。全国の看護大学・看護専門学校において、国家試験対策講座や解剖生理学・形態機能学、病理学、各看護学の講義を担当。また総合病院看護部の教育顧問として、臨床看護師を対象とした看護研究やフィジカルアセスメント、臨床推論の指導にも携わっている。 教育のかたわら、国立大学大学院(臨床人間科学専攻)を修了。在学中には、海外における看護師制度や看護師国家試験制度についての研究に勤しんだ。 学ぶこと、知ること、わかるようになること、そのよろこびを多くの看護学生・看護師に伝えている。 著書に『看護学生のための重要疾患ドリル』(メヂカルフレンド社)、『看護学生のための重要症状ドリル』(メヂカルフレンド社)など。

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